査読は学術出版において、研究の質とインテグリティをチェックする重要な役割を担っています。査読者のフィードバックは、原稿を出版に適したものにする助けとなるだけでなく、著者の研究の質を高めることにもつながります。思慮深く、よくまとまった査読コメントは著者の論文に最大限の恩恵を与え、出版までのプロセスがより効果的なものになります。
査読は学術出版において、研究の質とインテグリティをチェックする重要な役割を担っています。査読者のフィードバックは、原稿を出版に適したものにする助けとなるだけでなく、著者の研究の質を高めることにもつながります。思慮深く、よくまとまった査読コメントは著者の論文に最大限の恩恵を与え、出版までのプロセスがより効果的なものになります。
体系的に整理されたフィードバックは、ジャーナルエディターと著者の両者に最適かつ効果的な示唆を与えることにつながります。まず、ジャーナルエディターだけが目を通す非公開コメントから始めましょう。非公開コメントの中で査読した論文に対する懸念を述べたり、その背景にある情報を提供したりしても、それらが著者に共有されることはありません。非公開コメントの次に続くのは、著者に向けた一般的なコメントです。ここでは、論文の総合評価(採択、却下、または修正)と、論文に対する第一印象を述べます。著者へのコメントは重要度に応じて分類するのが一般的です。メジャーコメント(重要度が高い)は、方法論、データの解釈、欠落している要素といった、研究の妥当性に大きな影響を与えかねない重大な問題点に焦点を当てます。一方、マイナーコメント(重要度が低い)では、文章の明確化、誤字の訂正、図表の表示の改善など、比較的軽微な調整についての指摘をします。
査読では、まず論文を要約し、全体の印象を述べます。原稿はジャーナルの対象領域(スコープ)に入っており、明確に書かれていますか。該当する研究分野にどのような貢献をしているのか、また、今後、研究が進むきっかけとなるのかも考慮に入れましょう。あなたの判断に影響を与える可能性のある利益相反についてもよく考えてください。
助言はできるだけ具体的に行いましょう。原稿は大幅な修正が必要ですか、それとも、僅かな変更で済むでしょうか。論文は出版できる状態にありますか、それとも重大な欠陥があり、却下すべきでしょうか。
セクションごとにコメントをまとめると良いでしょう。これにより、それぞれのセクションに必要な情報が含まれているかを確認しやすくなります。タイトルから始め、アブストラクト、序論、と順に進めます。コメントをグループ分けすることで、自分と著者の両者が提案事項を把握しやすくなり、どこに変更が必要であるかを示す明確なフレームワークを提供することができます。
「タイトル」は論文の内容を正確に反映したものでなければなりません。そのようなタイトルでないと思われる場合は、修正を提案しましょう。同様に、「アブストラクト」は、不要な情報を除きつつ、鍵となる情報と結論を含めて、論文を簡潔に要約する必要があります。タイトルとアブストラクトが本文と一致しない場合は、改善を提案しましょう。
考慮すべき点:
「序論」では、研究の背景を説明し、先行研究とのギャップを特定し、リサーチクエスチョン(研究課題)や仮説を明確に述べる必要があります。査読者として、背景が十分に述べられているか、研究の根拠に説得力があるかを評価しましょう。序論に重要な文献が抜けている場合や、研究の新規性が強調されていない場合は、コメントで指摘しましょう。
考慮すべき点:
適切に書かれた「方法」には、読者が研究結果を完全に理解し、また、その結果の再現を可能にするのに十分な詳細が含まれています。査読者は、方法論の記述が詳細かつ明確であるか、また適切な統計テストが使用されたかを確認しなくてはいけません。例えば、サンプルサイズがどのように決定されたかなどの情報が欠けている場合は、必ず指摘しましょう。
考慮すべき点:
「結果」は「方法」から論理的に導かれ、図表を適切に用いながら明確に述べる必要があります。結果が不適当であったり、方法の裏付けがなかったりする場合は、指摘しましょう。
考慮すべき点:
「考察」では主要な結果を要約し、先行研究との比較を行い、研究の強みと限界を述べます。著者は結論を推測し過ぎていませんか。あるいは、結果と仮説をうまく結びつけているでしょうか。査読者として、研究の長所と、よりバランスの取れた議論が求められる部分の両方を明確に指摘しましょう。また著者が研究の限界を考慮し、それについて議論しているか、何か見落としていることはないかを確認してください。論文は、研究の簡潔な要約で締め括りますが、多くの場合、その締め括りは「考察」の最終段落か、もしくは独立した「結論」のセクションに記載します。
考慮すべき点:
最後に、参考文献が最新かつ適切であることを確認してください。重要な研究が抜けている場合や、参考文献が偏っている場合は、必ず指摘しましょう。
考慮すべき点:
しっかりと構成された査読コメントを提供することは、査読プロセスにおいて必要不可欠です。査読者のフィードバックは個々の論文を改善するだけではなく、科学研究のインテグリティを維持することにもつながります。明確なフレームワークを用いて、著者への提言(メジャーコメントとマイナーコメントの両方)を提供することで、より健全で信頼性の高い学術文献の構築に貢献することになります。
査読者コメントチェックリストには、上記で取り上げた項目を含む重要ポイントが挙げられており、査読者としてフィードバックの構成を考える際にご活用いただけます。もし査読プロセスについてご質問がございましたら、弊社にいつでもお問い合わせください。