プレゼンテーション後の質疑応答(Q&A)において、全ての質問に自信とプロ意識を持って対応できるかどうか、不安になったことはありませんか?そのような不安は、まちがいなく発表者の多くが感じているものです。会場からの質問や質疑応答の展開は必ずしも予測できるとは限らないので、経験豊富な発表者でさえも、質疑応答をうまく終えることができるだろうかと緊張するものです。
プレゼンテーション後の質疑応答(Q&A)において、全ての質問に自信とプロ意識を持って対応できるかどうか、不安になったことはありませんか?そのような不安は、まちがいなく発表者の多くが感じているものです。会場からの質問や質疑応答の展開は必ずしも予測できるとは限らないので、経験豊富な発表者でさえも、質疑応答をうまく終えることができるだろうかと緊張するものです。
プレゼンテーションの準備や効果的な行い方については、以前の特集で実践的なヒントを既にご紹介しました。今回は、簡単な決まり文句(フレーズ)を使い、どのようにして予想しなかった質問や困った事態を円滑に、また説得力をもって対処するかということに焦点を当てます。
質疑応答で起こりうる困った場面6例を挙げますので、自身の英語の熟練度と講演スタイルに一番よく合うフレーズを選んでみてください。
1. 質問がよく聞こえなかった場合
2. 質問を完全には理解できなかった場合(質問自体が分かりにくかった場合)
3. 答える前に考える時間が少し必要な場合
4. 質問への答えが暫定的なものであることを強調したい場合
5. 質問への答えを持ち合わせず、暫定的な回答も避けたい場合
6. 質問者に賛成しかねる場合
質疑応答の経験が豊富な方の中には、上に示した場面で使うフレーズには重複するものがあると思われる方もいらっしゃるでしょう(例:場面1と2)。しかし、各場面が厳密に特定されるようなフレーズを使わなかったために、発表者と会場の人たちとの間に混乱と誤解が生じることがよく起こります。これを踏まえ、コミュニケーションを明確なものにするために、各場面に固有で互いに重複しないフレーズを用いることをご提案したいと思います。
質問者がマイクを使用していない、またはマイクを使用していても一部聞こえない箇所があったなど、音量が十分でないために質問がはっきりと聞こえないことがあります。
質問の全てが聞き取れなかったことを伝えることは重要です(質問を理解できなかった場合は場面2を参照)。
国際学会や研究会議でよくみられるコミュニケーションがうまく行かない例として、質問がよく聞こえなかった発表者が、「Pardon?(なんとおっしゃいましたか)」や「Sorry, could you say that again?(申し訳ありませんが、もう一回言っていただけますか)」と言ったのに対し、質問者は自分の質問の意味が発表者には理解できなかったのだろうと勘違いし、時間をかけて(ときには冗長に)質問を言い換えることがあります。
質問が聞こえなかったということを質問者に確実に伝える簡単な方法は、そのことを明確に述べることです。
質問の全体、またはほとんどが聞き取れず、質問を始めから終わりまでもう一度聞く必要がある場合質問が部分的に聞き取れず、その部分だけを繰り返してほしい場合
これらのフレーズを言うとき、頭部と肩を質問者の方にわずかに傾けることにより、聞こえなかったということをジェスチャーでも示すことができます。
また、よく使われる「I didn’t catch that」というフレーズは、「I didn’t hear that(聞こえなかった)」と「I didn’t understand that(理解できなかった)」の両方の意味に解釈できるので注意が必要です。よって、質問者に何が問題なのかをすぐに分かってもらうためには、動詞の「hear」を使うのが最善策でしょう。
学会や研究会議の質疑応答で、発表者が質問をうまく理解できなかった場面に遭遇したことがあるのではないかと思います。また、発表者または質問者として、そのような場面を直接経験した方もいらっしゃるでしょう。
これはおそらく、質問が言語的に難しすぎてよく理解できなかった(質問が自分の現在の英語能力レベルを超えている)、あるいは、質問者の質問自体が明確でなかった(特に、コメントや意見という形で間接的または暗示的に質問をされた)ことが原因でしょう。
このような場合の最良の対処法は、素直に理解できないことを伝え、質問者に質問を言い換えたり、再構成したりしてもらうことです。
答えを準備していない予想外の質問を受けた場合、考えをよく整理し、答えを組み立てる時間が少し必要となるでしょう。質問は理解しているが答えを構築中だというシグナルを傍聴者に発信し、答えるまで少しの間待ってもらうためには、「thinking phrase(考え中であることを示すフレーズ)」を使うとよいでしょう。これにより、質問者が必要以上に質問を繰り返したり、言い直したりして、注意がそれることを阻止することができます。
下に示したよく使われるフレーズのどれか一つ(または組み合わせ)を使って、答える準備をしているという姿勢を示しましょう。質問に答える前に、考える時間を少しだけ稼げるはずです。
質問に対する正しい答えを持ち合わせていない場合、または、時間内に答えるには説明すべきことが多すぎる場合、暫定的または完全ではない答えを返すこともあります。
その場合、質問への答えは、「即断した(熟考していない)」もので、自身の初期の考えを表し、熟考した(また、実験または理論研究を行った)上での回答とは異なる可能性があることを伝えることが必要です。
このことは、下に示した一般的な英語のフレーズを使って、はっきりと伝えることができます。
これらのフレーズは、場面3で示した「thinking phrase」の後に続いて使用されることもあります。
質問への答えを持ち合わせていない場合、その質問が自分の専門外のものであったり、それについて最近研究が行われたのは知っているが、結果については知らないなどの理由で、暫定的な答えを敢えて出したくないこともあるでしょう。.
質問には答えないものの、質問者に反対しているわけではないことを示すフレーズを下に示します。
会場にいる人たちの多くは、同じような研究に興味を持っている方たちでしょう。そのため、質疑応答の質問者が、発表者とは違う見解を持っていたり、方向性が異なっている当該分野の専門家であることがよくあります。彼らは、発表者の研究の全体あるいはその一部に異議を唱えるかもしれません。質問の中には、有意義な知識を引き出すというよりは、発表者の見解または研究が間違っているというコメントに近いものもあるでしょう。
このような状況に置かれたときに、質問に如才なく対応することで、質疑応答が不穏なものとなったり、他の傍聴者にはよく分からない、また興味もない技術的問題についての口論となることを防ぐことができます。
質問者に賛成しないとき、また、緊張を和らげるときに便利なフレーズを以下にいくつか示します。
実際にプレゼンテーションに参加する利点の一つは、発表をビデオで見たり、議事録を読んだりする場合とは異なり、発表者に直接質問ができるということです。質疑応答の時間は、発表者が自身の研究の深みを示すとともに、さらに強調する、明確化する、または掘り下げるべき点を見つけるチャンスでもあります。
質問がよく聞こえない、理解しにくい、明確でない、簡単には答えられないなど、質疑応答の難しい場面を効果的に対処することができるようになると、自信が高まり、発表自体がより記憶に残るものとなるでしょう。
スピーチを上達させるのに、同僚やメンターからのアドバイスは不可欠ですが、私たちThinkSCIENCEでも、学会発表などを予定されているお客様をさまざまなサービスを通してサポートします。個人のお客様を対象としたマンツーマンのプレゼンテーションコーチング、グループのお客様を対象としたワークショップおよびコースをご利用いただけます。質疑応答を想定し、事前に用意した答えの校正や翻訳も行いますので、ぜひお申し付けください。
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