学会や会議で発表することが決まると、不安でいっぱいになる方や、その経験を楽しもうと思う方と、感じ方はさまざまですが、聴衆を前に自分の研究について発表することは、研究者や学者にとって非常に重要です。プレゼンテーション(発表)は、あなたの研究分野に興味を持つ人に直接語りかけることができる素晴らしい体験であり、プロジェクトを前進させるためのアイディアを得る絶好の機会であり、そして貴重な人脈作りのための優れた手段でもあります。
学会や会議で発表することが決まると、不安でいっぱいになる方や、その経験を楽しもうと思う方と、感じ方はさまざまですが、聴衆を前に自分の研究について発表することは、研究者や学者にとって非常に重要です。プレゼンテーション(発表)は、あなたの研究分野に興味を持つ人に直接語りかけることができる素晴らしい体験であり、プロジェクトを前進させるためのアイディアを得る絶好の機会であり、そして貴重な人脈作りのための優れた手段でもあります。
このように素晴らしい機会であるプレゼンテーションを効果的な行うために、準備段階で役立つ5つのヒントをご紹介します。
また、弊社で提供している無料のe-learningでは、口頭発表で自然に聞こえる言い回しと、研究論文によく使用されるフレーズの違いをクイズ形式で学ぶことができます。このモジュールを試してみたい方は、下記のヒント4をご参照ください。
研究について発表するときに、最初にやるべき、そして最も重要なことは、どのような人たちが聞き手となるかをよく知ることです。聞き手の立場になって考え、何が求められているのかを理解できれば、プレゼンテーションはすでに成功へ向かっていると言えるでしょう。聞き手の存在を常に心に留めながら、プレゼンテーションの準備を進めましょう。
聞き手の専門知識レベルや自分と聞き手が共有する知識を見極めることで、特定の技術用語や専門用語を使うのは適切か、研究を理解してもらうのにどのくらいの説明が必要かといった、発表に盛り込む情報のレベルや量を決めることができるでしょう。
聞き手の専門知識はどのくらいのレベルでしょうか?聞き手とあなたはどのような知識を共有しているでしょうか?
また、頭字語や略語についても、用いるべきか否かを判断できるでしょう。例えば、聞き手のほとんどが有機化学者であれば、「NMR、HMQC、NOESY」などは、定義を説明しなくても理解されるでしょう。しかし、他の分野の科学者には、解説が必要になるかもしれません。さらに、一般の方を対象にする場合は、このような専門レベルの情報は盛り込まず、分かりやすい説明を心がけましょう。
特定の専門分野の研究に長年携わっていると、聞き手に合わせてどの程度の情報を盛り込めばよいか、判断できなくなることがあるかもしれません。一般の聴衆に向けて発表をする場合は、友人や異なる専門分野の同僚を相手に練習をしてみるとよいでしょう。自分にとって当たり前のことでも、一般の方には説明が必要だということに気付くかもしれません。
次に気をつけることは、聞き手が自分の研究を理解しやすくなるような、明確で論理的な流れをつくることです。 ストーリーを語るように、起承転結が必要です。
出だしの部分で、まず聴衆に発表の概要を簡潔に示すと、全体の構造が理解しやすくなるでしょう。それから、序論(イントロ)で研究の簡単な背景を説明し、聴衆全員が「同じページ上」にいるかのような状況を作りましょう。あまりにも詳細な情報を提供し過ぎないように気を付けながらも、何についての研究なのか、なぜそれが重要なのかということについては、十分な情報を提供するようにしましょう。イントロであなたの研究の基礎を明確にすることで、研究の詳細や、あなたが主張しようとしている研究結果の意義について、より理解されやすくなるはずです。
発表の中盤では、何を行ったのか、どうしてそれを行ったのか、主要な結果は何だったのかなど、自分が研究したことについて語りましょう。ここは、論文における「方法と結果」に該当します。行ったことは全て説明しなければならないと考えがちですが、ここでも聞き手にとって重要で興味深いと思われることだけに焦点を当てましょう。
最後に、主要な結果をまとめ、その意義について考察しましょう。ここは、聴衆に強い印象を残す重要なメッセージ(take-home message)を伝えるよい機会です。何をtake-home messageにするかを考えるとき、「自分が話すことの中から聴衆に何か1つだけ覚えてもらうとすると、それは何がいいだろうか」と自問してみるとよいでしょう。
発表の構成を考える時、聴衆の注意力は15~20分で低下することに留意しましょう。したがって、長い時間発表をする場合は、各セクションがこの時間内に収まるように気をつけましょう。新しいセクションに移ると聴衆は再び話題に興味を持ち、話に集中するはずです。
視覚資料はプレゼンテーションにおいて非常に重要な役割を果たします。ほとんどの場合、パワーポイントで作成することが多いと思いますが、スライドは、自分のための覚え書きではなく、聞き手の理解を視覚的に助けるための資料であることを忘れてはなりません。
スライドには、3点ほどの要点が簡潔に箇条書きで書かれているのが理想的です。英語を話すのにあまり自信がない場合は、スライドの文章が多少長めになってもかまいませんが、読み原稿を記載してはいけません。
一般的に、スライドをそのまま読み上げると、聴衆はスライドを目で追うだけで、あなたの話に耳を傾けなくなります。また、書いた文章を読むとイントネーションが平坦になりやすいため、聴衆の眠気を誘うかもしれません。しかし、難解なことを説明するため、また、自分を落ち着かせるために、書いた原稿に頼らざるを得ないときには、各ポイントの合間で一呼吸置き、いったん聴衆の方に目をやってから、再び話を始めるようにしましょう。
スライドに示すのは、図表、顕微鏡画像、化学構造などの視覚資料に絞ることが理想的です。言葉だけの説明よりも図表があると、聴衆はずっと簡単に内容を理解することができます。また、適切な箇所を見てもらえるように、スライドを指しながら発表を進めましょう。
視覚資料を見やすくするために、 薄い色の背景に、濃い色の文字を使用しましょう。ArialまたはTimes New Romanなどのフォントを使い、会場の後ろからでもよく見える文字の大きさにしましょう。また、スライド上の各要素を適切な間隔で配置しましょう。1枚のスライドに過剰な情報を盛り込むよりも、2~3枚のスライドに分けた方がよいでしょう。プレゼンテーションの時間は限られていても、スライドの枚数には制限はないはずです。
視覚資料を作るときには、論文原稿を書いているのではないということを常に意識してください。スライド上では、文章が完全である必要はなく、動詞(とくに“be”動詞)は省略することができます。
英語の「書き言葉」と「話し言葉」はご承知の通り、異なります。研究論文をもとに発表原稿を準備するのであれば、「書き言葉」から「話し言葉」のフレーズに変更する必要があります。
研究論文に使われる英語は、難しい用語や複雑な文法構造を用いた書き言葉です。内容を完全に理解できなくても、読み手は十分な時間を使って、単語や文法などを調べることができます。しかし、プレゼンテーションの場合は、聞き手は話し言葉から一瞬にしてポイントを聞き取らなければならず、時間をかけて内容を理解するようなことはできません。だからこそ、スライドの簡潔なテキストと画像が発表の理解に役立つのです。
口頭発表については、これからも特集記事で取り上げていく予定です。楽しみにお待ちください。
プレゼンテーションをするときに、ほとんどの人は人前で話すということに不安を感じるでしょう。緊張感を完全になくすことはできないかもしれませんが、十分な準備と練習を行えば、より自信が持てるでしょう。堂々と発表をする人は、念入りに準備をし、メモを上手に活用しています。
読み原稿を書き終えたら、それを実際に声に出して練習し、暗記しましょう。文章をそのまま覚えるのではなく、大切なポイントや、「ストーリー」の流れ、そしてキーとなる重要な言葉やフレーズを頭に入れることが目的です。
ThinkSCIENCEでは、オーディオ録音を行っています。ネイティブスピーカーが口頭発表原稿をご希望のスピードで読み上げ、その録音データをお客様にご提供するサービスです。発音、イントネーションなどの練習にご利用いただき、発表を成功させるためにお役立てください。
繰り返しになりますが、スライドや読み原稿をそのまま読むことはできる限り避けましょう。 原稿を覚えたら、忘れないように簡単なメモを作りましょう。ただ文章を読み上げるのではなく、聞き手に向けて語りかけるように話すと、関心や興味を引き付けるでしょう。
メモやスライドを使い、十分に時間をかけて、発表の練習をしましょう。緊張すると話す速度が早くなりがちですので、気を付けましょう。また、次のスライドに移ったり、視覚資料を指し示すポイントを頭に入れて、全体のタイミングを確かめましょう。
繰り返し練習するとうまく言えない単語があることに気付くでしょう。www.howjsay.comなどの信頼のおける情報ソースやオンライン辞典、あるいはネイティブスピーカーの助けを借りて、まず発音を確認し、言いよどみのないように、そして発表中に困ってしまわないように、何度も練習しましょう。
練習すればするほど、資料を違和感なく使いこなせるようになり、聴衆の前で発表することに自信が持てるようになります。
聞き手を知ること、時間をかけて徹底的に練習すること、適切な流れで話をすることを忘れないでください。そして、絶対にパニックを起こさずに、落ち着いて発表するように心がけましょう。
ThinkSCIENCEは、お客様の研究発表やプレゼンテーション作成を長年サポートしています。スライドや原稿の 包括的な校正・翻訳からオーディオ録音サービスに至るまで、一連の準備をお手伝いします。マンツーマンの個人向けプレゼンテーション・コーチングや、若手研究者用のセメスターコースもご用意しています。
今回ご紹介した5つのヒントが、お客様の英語プレゼンテーションの準備に役立ち、自信をもって発表に臨んでいただけることを願っております。