通常、語学に長けた人は語彙が豊富で、同じアイディアを説明するのにも幾通りもの方法を知っています。特にフィクションの 文学作品などでは、同じ言葉を何度も繰り返し使う代わりに、数多くの類義語を使って文体を変化させることが推奨されます。
しかしながら、研究論文の主要目的は、ライティング能力を顕示することではなく、研究内容を伝えることであるべきです。研 究報告では専門用語が一貫して使用されていることが前提となっているため、 一貫性のない専門用語で同じアイディアが説明されると混乱を招きます。
例えば、「solar cells」と「photovoltaic cells」は、同じ「太陽電池」という意 味を持ちますが、この二つを切り替えて使用すると、 著者が意図していない にもかかわらず、二つの単語が異なるものを意味するような印象を与えます。 特に、例えば「Increasing the efficiency of solar cells is an ongoing challenge. However, photovoltaic cells are a rapidly growing technology(太陽電池(solar cells)効率の向上は対処中の課題である。しか しながら、太陽電池(photovoltaic cells)技術は迅速に発展している)」など のように、この用語が対照をなす場合、おそらく読者はこれら二つの用語を異 なるものとみなす可能性があります。
簡潔に書くときには、まずアイディ アを重視し、その次に言語的なこと を考えましょう。そうすると、たとえ 語学スキルが異なっても、説得力 があり、明確で理解しやすい論文 を書くことができます。簡潔な文章 を書くことで、執筆プロセスが簡素 化され、論文の読みやすさが向上 します。
このような混乱を避けるためには、重要コンセプトを説明する場合は複数の同 義語を使いまわすのではなく、それに対応する1種類の単語またはフレーズを選び、それを毎回使用しましょう。
もし、当該分野において、複数の単語・フレーズが一般的に使用されている場合は、それが初出の時にどちらを使用するの かを特定し、選択しなかったほうは挿話的な方法で紹介すると良いでしょう。「Increasing the efficiency of solar cells (also known as photovoltaic cells) is…」と書くと「solar cells」を一貫して使用することが明確に示され、読者に代替 用語も示すことができます。代替用語を論文に含むことで、テキスト検索やウェブインデクシングにおいても利点があります。