June 2023
国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)の勧告における著者資格基準などの更新について
国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)が最新版のICMJE Recommendationsを発行しました。この勧告は生物医学のパブリケーションに関わる人(ジャーナル編集者、査読者、著者など)が科学的なパブリケーションのインテグリティと透明性を確保するためのガイドラインとして機能するものです。
学術コミュニケーションの動向や変化に対応するよう、最新版にはいくつかの重要な変更がなされました。すべての変更点を示したPDFがICMJEから提供されています。重要な変更は次の4点です。
1.著者資格基準の2番目:"Drafting the work or revising it critically for important intellectual content" が "Drafting the work or reviewing it critically for important intellectual content" に変更されました。この変更により、原稿の内容に同意して著者資格を得るためには、著者は原稿をクリティカルにreview(見直し、評価)すべきであるが、必ずしも言い回しに変更を加える、つまりrevise(修正する)必要はないことが明確になりました。
2.著者がChatGPTやチャットボットなどの言語モデルといったAIおよびAI支援技術を使って論文を作成した場合には、その使用について開示することが求められるようになりました。特に、そのようなAI支援技術は著者資格基準を満たさず、その技術そのものを著者として記載すべきではないことが明示されています。さらに、査読者によるAIの使用についても取り上げられており、また、AIが作成した文書などをコンテンツの主要ソースとして参照しないよう著者に注意を促しています。
3.プレプリントのレジストリに臨床試験結果を登録するのに必要な抄録および表は、prior publication(先行して公表されたもの)としてカウントされなくなりました(最新版では500単語の制限についても削除され、代わりに「短い」(brief)という表現に変わり、単語数制限についての記載はなくなりました。)
4.性やジェンダーに関連する研究結果を報告する際には、SAGER(性とジェンダーの平等性)ガイドラインを参照することが推奨されます。
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