ジャーナルに論文を投稿した後、査読者やジャーナルエディターのコメントに基づいて論文を修正しなければならないことは、よくあることです。コメントに対して科学的あるいは学問的な見地から回答することは、著者にとって決して難しい問題ではないかもしれませんが、いかに効果的に答えるか、となると、いささか困難を伴うでしょう。
ジャーナルに論文を投稿した後、査読者やジャーナルエディターのコメントに基づいて論文を修正しなければならないことは、よくあることです。コメントに対して科学的あるいは学問的な見地から回答することは、著者にとって決して難しい問題ではないかもしれませんが、いかに効果的に答えるか、となると、いささか困難を伴うでしょう。
ここで言う“効果的に”というのは、英語での回答を整理された構成で、かつ(査読者と著者の関係において)バランスよく対等な語調で、作成することを意味します。言い換えれば、冗長でまとまりが無く、不適切な言い回しをしているがために内容がわかりにくく、ジャーナルエディターや査読者の時間を無駄にしてしまうような回答レターを送ることは、避けなければなりません。
論文を修正するときに理想的なのは、今回の研究で行ったことの正確な説明と、得られた結果に対する著者の解釈を変えることなく、査読者の指摘をうまく取り入れることで、その説明や解釈をさらに改善することです。以前の特集記事で取り上げたように、 必ずしも査読者の指示通りに論文を全面的に修正する必要はありません。しかし、指示通りに修正をしないときには、その理由を適切に説明しなければならず、そのことは、どの指示に従うかを決定するのと同じくらい重要です。
この特集記事では、ピア・レビューやエディトリアル・レビュー(編集委員による査読)に対する回答レターを効果的に作成するためのヒントを、下記の有用な情報やツールとともに、ご紹介します。
1. バランスよく対等な語調の回答レターを作成するときに役立つ言い回し(または避けるべき言い回し)
2. 適した英語表現を使い、わかりやすく構成された回答レターを作成するためのテンプレート
査読者のコメントに一定の形式があるわけではありませんが、多くの場合は、「メジャーコメント(重要度が高い)」と、それに続く「マイナーコメント(重要度が低い)」が述べられます。それらのコメントの前に、研究目的や方法、主要結果やその解釈に対する査読者の総評がなされることもあります。
メジャーコメント:投稿論文の科学的あるいは学問的な内容に関連する問題点
マイナーコメント:文法ミス、一貫性のない用語の使用や書き方、関連文献の記載漏れ、図表に対する修正指示など、表記に関連する問題点
査読者へ回答するときには、次の4つのステップにそって進めていきましょう。もし査読者から受け取ったコメントがすでにメジャー/マイナーに分類されている場合は、ステップ(1)をスキップしてください。
この時点で、論文修正の提出期限を確かめておきましょう。この期限は、ジャーナルエディターからのレターに書かれている場合と、投稿規定に、たとえば3ヶ月(または90日)のように記載されている場合があります。次に、修正論文や回答レターの作成と、それらの翻訳・校正に必要な時間も考慮して、期限内にすべての作業が完了するように計画を立てましょう。もし、論文修正中に期限内の再投稿がほぼ不可能なことがわかったら、すぐにジャーナルエディターに期限延長を打診してみましょう。ほとんどの場合、承諾してもらえるはずです。なお、ThinkSCIENCEでは、期限延長を依頼するためのレター作成をお手伝いしていますので、お困りの方はぜひお申し付けください。
ジャーナルエディターや査読者に回答するときには、適切な用語や言い回しを使い、わかりやく、簡潔に構成する必要があります。
査読者への回答に規定のフォーマットを使うよう求めるジャーナルもありますが(例:査読者のコメントとそれに対応する著者の回答を表にする)、大半のジャーナルには、著者の回答方法の指定はありません。指定がない場合には、わかりやすく、簡潔に構成された回答レターを提出し、次の査読プロセスが効率よく、迅速に進むようにしましょう。まとまりのない回答レターを提出してしまうと、通常は無報酬で査読を行っている査読者の時間を無駄にし、査読判定にかかる時間を不当に長引かせることにつながります。そのようなことは避けなければなりません。
適した用語や表現を使い、うまく構成された回答レターを書くためのテンプレートをご用意しました。
どの分野でも、ほとんどすべての論文は、ジャーナルにアクセプトされるまでに修正を余儀なくされます。査読者コメントに答えることは、決して楽な作業ではありません。特に、研究論文を投稿した後に、その研究がさらに進展しているときには、なおさら難しくなるでしょう。しかしながら、今回ここでご紹介したステップやアドバイスに従い、また査読者は自分たちと同じ研究仲間であり、同じ専門家であるということを常に念頭に置いておけば、論文の修正や回答レターの作成はより簡単になるはずです。そして、論文出版までの研究サイクルに沿って、スムーズに事が進んでいくことでしょう。 私たちThinkSCIENCEの専門エディターは、出版までの全プロセスを通して、論文の著者、ジャーナルエディター、査読者をサポートします。論文の修正あるいは査読に関してお手伝いが必要な方は、ぜひお問い合わせください。査読者の意見にすべて同意しない場合でも、エディターが全コメントに対する反論回答の作成をお手伝いすることも可能です。