
明確で透明性のある研究報告は、学術研究が正しく評価され、正確に再現されるためには不可欠です。そのため、分野や研究の種類に応じた様々な著者向けの報告ガイドラインが提供されるようになりました。その多くはチェックリストの形で構成されており、研究者が方法、データ、結果を整理して記述するための標準化されたフォーマットを提供しています。
明確で透明性のある研究報告は、学術研究が正しく評価され、正確に再現されるためには不可欠です。そのため、分野や研究の種類に応じた様々な著者向けの報告ガイドラインが提供されるようになりました。その多くはチェックリストの形で構成されており、研究者が方法、データ、結果を整理して記述するための標準化されたフォーマットを提供しています。
研究の透明性と再現性が求められる中、報告ガイドラインに従うことを著者に義務付けるジャーナルが増加しています。しかし、報告ガイドラインにはどのようなものがあり、どのような研究を対象としているのでしょうか?今回の特集記事では、よく使用されるガイドラインのいくつかを簡単にご紹介します。
適切な報告ガイドラインは、研究の種類や分野によって変わります。研究分野ごとに多様な報告ガイドラインがありますが、それぞれが特定の種類の研究に合わせて作られており、重要な情報が同じ基準で一貫して報告されるように設計されています。
医学、医療、およびその関連分野の研究では、健康研究の質と透明性の向上を目的に組織されたEQUATOR(Enhancing the Quality and Transparency of Health Research)Networkがガイドラインの主要な情報源であり、そこでは臨床試験、質的研究、症例報告など、研究の種類別に報告ガイドラインが分類されています。Equator Wizardは、数多く存在する報告ガイドラインを簡単に検索できるツールで、研究者が研究のデザインや分野に基づき、適切なガイドラインを見つけるのに役立ちます。
ジャーナルへの論文掲載を目指す場合は、まずターゲットジャーナルの著者向け投稿規定を確認しましょう。多くのジャーナルは新規の投稿に対して報告ガイドラインの使用を推奨または義務付けており、従うべき報告ガイドラインを指定しています。中には標準のチェックリストを改変して使用しているジャーナルもあるため、各ジャーナルが指定する要件を必ず確認しましょう。
また、使用した報告ガイドラインは論文内に適切に引用する必要があります。それにより、引用した報告ガイドラインを参照して論文が構成されたことを示し、その基準に従っているかどうかを読者や査読者が確認できるようにします。方法は様々ですが、多くのガイドラインはどのように引用すべきかを具体的に指示しています。
医学や臨床研究の分野の報告ガイドラインは確立しており、主要な研究タイプはすべてカバーされ、特定の専門領域に特化した拡張版を持つガイドラインも少なくありません。EQUATOR Networkは、これらのガイドラインを提供する中心的なハブとして機能しています。
EQUATOR Networkのガイドライン群の多くは、特定の研究タイプによっては社会科学や心理学分野の研究にも適用できます。
医学や社会科学以外の分野では報告ガイドラインの使用はあまり普及していませんが、一部の組織はベストプラクティスに関する指針を提供しています。例えば、電気・電子工学分野の主要な学術団体であるIEEEは、論文を発表する際の倫理的なガイドラインを定めています。
また、大手の出版社が独自の報告基準を設けている場合があります。その代表例がNatureです。同社のReporting Summary(研究報告要約)には、統計分析、ソフトウェアおよびコード、細胞株などに関する数多くの報告要件が詳述されており、同社から出版されているほとんどのジャーナルに投稿する際に、そのフォームの提出が必須とされています。
生物学、生化学、およびその関連分野では、FAIRsharing(旧MIBBI Foundry)が、様々な科学分野における報告ガイドラインとデータ基準を集約したデータベースを提供しています。元々は生物学や生物医学研究のために最小限情報をまとめたチェックリストを提供するハブとして設定されましたが、現在は生命科学分野を超えて、環境科学、人工知能、材料科学などの分野にも対応する基準をカタログ化しています。
FAIRsharingの主なガイドライン:
FAIRsharingは、EQUATORのように必須の報告ガイドラインを管理するリポジトリではありませんが、研究者がデータの透明性と再現性に関するベストプラクティスに沿って研究報告をする際の貴重な情報源として機能しています。
報告ガイドラインに従うことは、研究が透明で再現可能なものとなり、広範な学術コミュニティにとっても価値あるものとなることにつながります。これらの基準は、研究者が自らの研究結果を明確かつ一貫した方法で伝えることを助け、研究の比較や再現を容易にします。
ご自身の研究の報告ガイドラインについてサポートが必要な方は、私たちにお気軽にお問い合わせください。多くのリソースの中から適した報告ガイドラインを選ぶお手伝いをし、お客様の研究が最高の基準を満たすようサポートいたします。